司法書士試験の過去問の活用法とは?おすすめ勉強法から問題集の選び方まで解説!
更新
「司法書士の過去問の活用法は?」
「おすすめの過去問題集を知りたい!」
高校入試や大学入試、各種資格試験においても同じことが言えますが、司法書士試験についても過去に出題された問題を解くことは有効な受験の準備になり得ます。
ここでは司法書士試験対策において過去問活用にどのようなメリットがあるのか、司法書士試験の過去問題集はどのような物を選ぶのが最も効率的なのかについて詳しく見てみましょう。
司法書士の過去問学習をざっくり説明すると
- 過去問は実力確認や解答力の強化に非常に有効
- 過去問は司法書士試験公式HPでも確認できるが、解説がないので学習の際は過去問集を利用する必要がある
- 過去問集は解説の丁寧さと問題数の多さで決める
- おすすめ過去問集は「伊藤塾セレクション」や「オートマ過去問」「LEC 合格ゾーン」など
司法書士試験の2つの勉強方法の根幹
司法書士試験の勉強を行う上で、その方向性について見た場合2つの基本事項があります。それぞれについて詳しく紹介して行きます。
インプット
インプットは入力のことです。つまり、自分が持っていない情報を頭の中に入れて記憶することが中心の勉強法と言うことになります。
教科書や参考書を使って情報を集め知識を蓄積して行くことが中心の勉強法です。新しい知識を増やしたり、専門的な領域の理解を深めたりするために行います。
この勉強法は義務教育から大学教育まで、学校で勉強する時の方法にあたります。基礎になる知識がないと応用問題は解けません。ですから知識をインプットすると言う方法で基礎を学ぶことは非常に大切なのです。
アウトプット
アウトプットは出力のことです。つまり自分が持っている知識や情報を必要に応じて取り出す作業のことになります。
この勉強法が必要な理由は2つあって、まず自分の知識や情報が十分であるかどうかの確認と、もうひとつは質問に対して適切な知識を適用して解答できるかどうかと言うことのチェックです。
この勉強法は上の学校に進む時の受験勉強に似ています。例えば義務教育の9年間で学んだことを100%身に付けていれば、高校の入試は原則として対策なしに合格できるはずです。
しかし、実際にはどんなにできの良い生徒でも、9年間にインプットされたことを100%記憶していることはないでしょう。
そこで受験勉強が必要になるのです。
過去問を解くのはこのアウトプット型の勉強です。過去問に取り組んで間違えたり解けなかったりすると言うことは、記憶しているはずの情報が抜けていたり、理解しているはずの解法が理解できていなかったりすると言うことにほかなりません。
そこで、もう一度教科書や問題の解答を確認して、不足した知識や理解できていない解法をインプットし直すことで勉強するのです。
言い換えればアウトプット型の試験対策は、アウトプットによって再インプットの必要な部分を確認するフィードバック型の勉強法と言えるでしょう。
司法書士試験の勉強で過去問を活用するメリット
司法書士試験は、例えば学校教育などで社会人としての常識や知識を身に付けた人が受験します。
つまり基礎のインプットは完了していると言う考え方ができます。もちろん専門的な資格ですから、それ用の追加インプットは必要になるでしょう。
しかし、過去問を活用することでそれにも寄与することができます。以下では過去問学習のメリットについて見てみます。
自分の実力を把握できる
教科書や参考書だけで勉強しても、自分の実力がどれくらいなのかはわかりません。
参考書などにはチャプターごとに確認問題が付属していることがありますが、これはアウトプットの一種になります。
チャプターごとにアウトプットしてみて、インプットした内容が正しく確実であるかどうかを見ているわけです。
これはこれで有効なのですが、ロスが大きいかも知れません。
過去問に取り組めば、司法書士試験全体を俯瞰して自分の実力を測ることができます。そこで間違えたことや分からなかったことに注力してインプットし直せばより効率的に実力を身に着けられます。
一方、過去問の利用においては法改正に注意が必要です。
司法書士試験では法改正が行われた場合、その前後の違いなどについて出題されることがあります。法改正についても参考書などが出ていますから、その部分はしっかりインプットしておきましょう。
本番を想定した勉強ができる
受験勉強において重要なことの一つに、問題を解くスピードが身に付いているかどうかと言うものがあります。
いくら知識が十分でも、解答に時間がかかり過ぎたのではいけません。
過去問に取り組むことは、本番の試験での時間配分を考える練習にもなります。
また、数を当たることで全体的な傾向が見えてくることもあるでしょう。それによって、どのような問題をしっかり押さえておくのが良いのかと言うことが分かります。
意外な効果として繰り返し過去問に取り組む中で、同じ問題で何度も引っかかる部分を発見できると言うことがあるのです。いわゆる「鬼門の問題」と言う物で、自分にとって理解や記憶がしにくい問題と言えるでしょう。
これをしっかり把握しておくと、本番までに何度でも覚え直すことができますし、スキのない能力を身に付けることが期待できます。
よく苦手の克服といいますが、克服するためには苦手を見つけなければいけません。過去問は自分の苦手を発見するためにも有効なツールなのです。
過去問と似た問題が出題されることもある
これは多くの人が期待する「過去の試験で出た問題がまた出題される」と言う現象の対策です。
これはあるともないとも断言はできませんが、似た傾向の問題が出ることがあるのは事実です。
つまり過去問に取り組んでおくことが受験に有利になる可能性は高いと言えるでしょう。
司法書士試験は大変難しい試験です。と言うのも、多くの資格試験のように「合格点を超えればOK」と言うものではなく、大学受験のように受験者同士で競い合うタイプの相対評価の試験だからです。
ですから毎年合格点は異なっていますが、だいたい70%~80%の得点が必要とされています。
さらに、択一問題と記述式問題のそれぞれに足切り点が設けられているため、トータルで高得点でもどちらかがそれに満たないと不合格になるのです。
こうした厳しい状況をクリアするための第一歩が過去問に取り組むことだと言えるでしょう。過去問と似た問題が出れば、その問題の分は確実に点数が取れます。
司法書士試験の過去問題集の選び方
法務省の公式サイトには、当年度分を含めて6年分の試験問題が公開されています。
当年度分を除く5年分の、択一問題の正解についても公開されていますので参考になるでしょう。
しかし、問題と解答に対する解説などは載っていませんから、やはり過去問の問題集を求めることが必要になるのです。
ここでは過去問題集を選ぶ際に大切になるポイントを解説していきます。
解説がわかりやすいものを選ぶ
司法書士試験の問題は難しいものが多いです。
言い換えれば、それぞれの問題についてわかりやすい解説が付いていないと、問題を前に理解できずに苦しんでしまうことが度々起こるのです。
ですので、まず解説を読んでみて自分に理解しやすいものであるかどうかを確認するのがベストになります。
しかし、書店の店頭に過去問題集が全部揃っているわけではありませんし、書店の数が少ない地域に住んでいるとそもそも店頭で確認することもできません。
そうした場合には書評を参考にするといいでしょう。書評を読んでみて、書評を行っている人が自分に近いと感じられるものを参考にすると自分に合ったものを選べます。
基本的には問題数が多くて解説が丁寧なものが良いのですが、そうなると分厚くて大変でしょう。
そこで、同じ程度の分厚さなら解説が丁寧で多いものを選ぶのがおすすめです。
問題数が多いだけのものだと、理解が追いつかず勉強が非効率的になりかねません。
まずは1冊の問題集を選ぶ
過去問への取り組みの第一歩として、まず1冊の問題集を選ぶところから始めてみることをおすすめします。
問題集もたくさんあって迷うことも多いでしょうが、複数持つことはあまりおすすめできません。これはロスを増やす原因になり得るからです。
たくさんありすぎると全て解ききれないと言うことがあるのはもちろんですが、勉強に行き詰まった時、ついもう一冊の方で勉強しようと考えることがあるからです。
そうした場合、気が付いたら自分の得意な問題ばかりに取り組んでいたと言うことにもなりかねません。これでは実力を伸ばすための勉強していたとは言いにくい状態になってしまいます。
まずは一冊の問題集をしっかり全部解くことに集中し、単に解くだけではなく「理解する」事が重要になります。
ちなみに記述式対策もしっかり行う必要がありますが、学習の順番としてはまずは択一式から始めるのがおすすめです。択一式問題をしっかり理解することができれば、記述式問題を解く際の知識の土台を築けるからです。
過去問を利用して勉強するときのポイント
司法書士試験に向かう時、過去問を勉強すると言っても漫然と解いていたのでは力になりにくいでしょう。
必ずポイントを押さえて、しっかり身に付くよう学ばなくてはいけません。ここではそのポイントについて紹介します。
問題は繰り返し解く
問題は繰り返し解くと言うのは、子供の頃の学校でもよく言われることです。
これは学習にとって一番怖い「分かったつもりになる」と言う現象を防ぐためです。
択一式の問題の場合、正解したとしても偶然という可能性を否定できません。
本当は理解できていないのにたまたま正解してしまったと言うケースでは、知識が不十分なままそれを放置してしまうことになるでしょう。
正解であっても不正解であっても、問題を解いた後は必ず解説に目を通しておくことが必須です。正解であったとしてもその裏付けが不完全であれば、それは不正解と同じになります。
解説をしっかり読み込んだあとで再度チャレンジし、正しい解答が出せるようになっておくのがポイントです。
だからと言って闇雲に繰り返しても効率的ではありません。2回以上続けて正解が出せれば次へ進むなど、繰り返しの際の基準を決めておくことが大切になります。
また、どうしても正解と不正解を交互に出してしまうような場合には、少し時間を置いてから勉強しなおした方が効果を得やすいでしょう。
これはその問題に取り組むことに飽きてしまうからです。まず、なぜ間違えたのかを理解できるように努力してから、少し日数をあけて下さい。
インプットも並行して行う
過去問を利用して行くことで効率よく受験対策が進むでしょう。
しかし、過去問を解いていると、どうにも理解できないことが見つかるケースもあります。
そうした場合はそのジャンルに関して基礎的な知識が不足している可能性が高いです。
まず教科書などでそれに関する部分を見つけ出し、再度要点を中心に学習し直すことが有効です。
この作業は過去問を解くような、まとまった時間の中で行うのはもったいないです。教科書などに付箋を貼っておいて、ちょっとしたスキマ時間を見つけて、そこでその部分を何度か読むようにするといいでしょう。
アウトプットを重ねて行くと、意外にこうしたケースがよく出てきます。
自分では一通り勉強したつもりでも抜けていると言うことで、知識の抜け漏れを発見できるのも過去問に取り組んだおかげと言えるでしょう。
この場合、アウトプットするのに不足した部分だけをインプットすればいいので、自然と効率的な勉強法をしていることになります。
問題の意味を正しく理解する
例えば過去問で法律に関係する問題を解いていて、分からない問題にぶつかった場合、次のどれかに該当することが多いでしょう。
まず、どの法律が適用されるのかが分からないとか、法律の見当は付くけれど条文が思い出せないとかの場合は、知識そのものが足りないと言うことで、インプットが不足していると言うことになります。
一方、適用される法律の条文はしっかり思い出せるけれど、問題が問うていることに関連付けられないと言う場合は、法律の条文を機械的に記憶していただけで、法律が理解できていなかったと言うことになります。
もう一度、その条文は何のためにあるのかを理解して覚え直す必要があります。
そして、法律の意味も分かっているけれど解けないと言う場合には、問題に対する読解力と解答を組み立てる構成力が不足していると言うことです。つまり何を問うている問題なのかが理解できていないと言うことになります。
そうした場合には、過去問の解説を見ながら、解答に至るプロセスを理解しながら覚えて行くと良いでしょう。問題を数当たるのではなく、丁寧に「量より質」であることを意識して取り組んで下さい。
おすすめの過去問題集
司法書士試験の過去問題集にもいろいろな種類がありますが、ここでは受験勉強に活用できる、おすすめのものをいくつかピックアップして紹介します。
伊藤塾セレクションシリーズ
伊藤塾セレクションシリーズは全4冊の中に司法書士試験の過去問をまとめた、コストが少なくて済む過去問題集です。
問題を羅列するのではなく、重要なものをセレクトし、さらに伊藤塾オリジナルの問題を加えて実践的な問題集に仕上げています。
そのため効率的に勉強が進められます。また、大きな特徴は解説のわかりやすさと言えるでしょう。
問題と解答の間に、その結果が導かれるプロセスを解説して理解を深めてくれるものなのです。
山本浩司のautoma system オートマ過去問
オートマを略称されることの多いこの問題集は、基礎を固めるということをコンセプトにした問題集です。
基礎を完璧にすることで応用問題に対応できるようにしています。
この問題集の特徴は、出題年度に関係なくテーマごとに問題がまとめられていることです。
司法書士試験の択一式問題は1問5肢のものが多いですが、この問題集では選択肢ごとに分解された文章の正誤を判定するという方式をとっています。
つまり、1問5肢のままで解答すると偶然でも20%の確率で正答してしまいますが、それを防いで1選択肢ごとに正誤を判定することで基礎が身に付くようになっているのです。
LEC 合格ゾーン
LEC 合格ゾーンは非常に沢山の問題が掲載されているだけでなく、その解説も丁寧であることが特徴です。
問題の量が多いために、最近の出題傾向などもつかみやすくなっています。それだけに、全部を解こうとするとかなり時間が必要になる可能性があります。
たくさん解いて力をつけたいと言う人や、基礎は十分身についているので数を当たりたいと言う人にピッタリの問題集と言えるでしょう。
過去問が難しいと感じる人は通信講座を活用
司法書士試験はかなり難しい部類の試験です。過去問を解いていても壁に突き当たってしまうことが少なくありません。
そうした場合、独学では限界があると感じることもあるでしょう。そんな場合には予備校や通信講座で学んでみるのも一つの方法です。
特に通信講座はWebを通じて講義が配信されるのでPCやスマホでいつでもどこでも勉強できるなど、時間がフレキシブルに使えるということで勤めながら勉強をしている人に最適です。
また、多くの場合記述式の対策までしっかりと行ってくれるので、あれこれ追加で教材を買わずとも合格に十分な実力を身に付けることができます。
通信講座の中でも特に人気なのがスタディングの司法書士講座です。
予備校に通おうとすると50万円近くの費用がかかってしまいますが、スタディングであれば101,200円という破格の安さで講座を受講することができます。
また安くても講義の質の高さには定評があり、忙しい社会人の方を中心に人気を集めています。
プロの指導のもとで効率よく合格を目指したいとお考えの方は、この機会にぜひ受講されてみてはいかがでしょうか。
司法書士試験の勉強は積極的に過去問を活用しよう
司法書士試験の過去問活用法まとめ
- 学習においてはインプットとアウトプットのバランスを意識する
- 過去問演習で間違えたところをインプットし直すのが効率的
- 司法書士の難易度は非常に高いので、独学で挑戦している方はプロの力を借りるのも検討しよう
司法書士試験の対策として過去問を活用することで、本番と同様の取り組みが可能になります。
また、自分の力が不足している部分を発見したり、試験に向かうための実践的な力が身に付いたりすることも期待できます。
今回はさまざまな過去問活用法を紹介しましたが、自分が今取り入れられることを見つけて、ぜひ実践してみてください!